2万4000人の医師不足をどう確保するかが課題

診療科の偏在も解消されていません

2010年度の診療報酬改定では、重点課題である勤務医の負担軽減を実現するため急性期の入院医療の評価を高くしました。

その結果、一部の病院経営者からは安堵の声が聞かれましたが、人員増強や基本給の引き上げには結びついていないと労働環境の改善を求める声は依然として強くあります。

厚生労働省は、2008年の「安心と希望の医療確保ビジョン」で医師不足の現状を認め、医師の養成数を増やし、将来的な需要に見合った医師数を確保する方向へ政策転換しました。

文部科学省でも医学部の増員を打ち出していますが、医師の要請には年数がかかるため、医療現場で定員増の効果が現れるのはまだ先の話しとなります。疲弊が著しい現場への緊急策として、厚生労働省は診療報酬上の評価や「地域医療再生基金」による地域レベルの施策、チーム医療の推進による現場の疲弊を緩和する方向に動きました。

政府が2009年度補正予算で設置した「地域医療再生基金」は、都道府県が策定した地域医療再生計画に基づいて各都道府県の2つの2次医療圏に25億円ずつ交付し、医療課題の解決や医師確保事業に充てるものです。ただ、対象が限定されていたため2次医療圏を越えた問題を解決できないなどの意見が出ていました。

そこで政府は2010年度の補正予算で基金を2,100億円積み増す決定を行い、都道府県単位の3次医療圏に上限120億円を交付することにしました。厚生労働省は3次医療圏を対象とすることで、高度専門医療や救命救急センターなどの2次医療圏を越える広域的な医療課題にも取り組むことが可能になるとしています。

2011年度予算に新しく盛り込まれた「地域医療支援センター」の設置事業は、センターを設置した中核病院に若手医師を所属させ、キャリア形成の支援を行いながら地域の医療機関に医師を配置するというアイデアです。また厚生労働省は医師確保対策をス新するための基礎データを把握するため、必要医師数実態調査を実施しました。

調査対象は病院と分娩取り扱いの診療で、病院では現員医師数の1.11倍にあたる約1万8,000人が不足、便々取り扱い診療所でも1.11位倍にあたる約800人の不足が明らかになりました。求人を行っていないものの医療機関が必要と考えている必要医師数、病院と診療所をあわせて約2万4,000人にのぼりました。

都道府県別では岩手県の1.40倍が最も高く、以下青森県の1.32倍、山梨県の1.29倍と続いています。診療か別では、最も足りないのがリハビリテーション科で現員の1.29倍、救急かは1.28倍、産科は1.24倍の医師数が必要であることがわかりました。